暑熱対策を施したチェーンソー防護服の開発
2009年5月12日
株式会社 トーヨ
代表取締役渡邊 茂義
1.研究目的
 我が国の夏期の気象は高温多湿で30℃を越す真夏日が続くうえ、地球温暖化による温度上昇も加わり日中で行う林業作業環境は厳しく、さらに作業者の高齢化等で暑熱に対する適応力の低下傾向で、全国的に熱中症が増加していて死亡事故も懸念されている状況のなか、林業作業現場では安全性能がたかく軽量で快適な防護服の開発が求められていた。通気性や吸水性(吸汗性)に充分な素材が市販されていなく、通気性のある「からみ織」の織物を開発し、その素材を使用して安全快適な暑熱対策をしたチェーンソー防護服の開発を行った。
2.研究方法
・チェーンソー防護服の着用アンケート(全国約10カ所)行った。
・上記の目的に合う素材の開発。一村産業(株)東レグループ本社大阪市 共同開発を実施した。
(生地重量160g以下を目標 厚み0.4mm以上で布地強度は従来作業服地と同等以上で、吸汗性、通気性・排熱機能による快適性)
・快適性評価試験、石川県工業試験場、繊維生活部の恒温気象室で行う。共同研究を行った。
・人間工学デザインは神戸芸術工科大学、ファッションデザイン学部の指導行を受けた。
3.研究目標
・防護性能(ISO11393-2)準拠 クラス1 チェーン速度20m/s デザインA  カットスルーなし
・製品重量  従来品より20%の軽量化 (当社品:GBZ―3)
・快適性   通気性・吸水性の大幅な向上
・布地強度  強度試験(引張り・引き裂き)作業服地として問題なし
引裂強力(N/cm2) 引張強力(N/cm2) 生地重量 生地厚み
タテ ヨコ タテ ヨコ (g/m2) (mm)
新製品 暑熱服 32.01 32.01 490 519 148 0.37
自社製品(GBZ-3) 32.01 32.01 735 578 267 0.47
4.研究内容
・機能繊維(たて糸に吸汗性・よこ糸に通気性繊維)使用することで、素早く湿気・体温を放出する「からみ織物」でハニカム構造の断面にして衣服内の湿気・体温を排出する。
・超極細繊維を使用しているため水分湿気(吸汗)を肌側からの速く衣服表面に排出。
・生地の軽量化 従来品より生地重量(1u)44%の軽量化。
・通気性は従来品より35倍と飛躍的に向上した。
・吸水性は従来品より10倍と大幅に向上した。
・透過熱量は従来品より3%増加、熱を放出する量が大きい(接触冷感性)がある。
・暑熱対策チェーンソー防護服(防護ズボン)は従来品(GBZ―3)1080gから800gとなり26%の軽量化を達成した。
・衣服内温度(人体表面温度)無風状態では0.3%低下、有風状態では衣服内温度の上昇はなし。
・防護服には人間工学デザインを採用して動作のしやすいデザインを採用した。
5.まとめ
 20年度に着用試験を実施してアンケート調査を行い、効果を確認した結果、軽くて快適との評価をえた。デザインについては人さまざまな意見があった、視認性の高いオレンジを採用して巻きこまれ事故防止の効果は好評であった。接触冷感性能(生地表面より放出する熱量)効果を確認した。
6.今後の課題
 夏期の高温多湿作業環境下で熱中症防止と快適作業の目的で開発をした。19年度の林業事故の型別死傷災害では、「切れ・こすれ」が最も多く2300人中29,2%に達している。今まで対策が遅れていた暑熱対策用衣服を開発することで年間を通して着用することが出来て安全性が高まり。快適な防護服を着用することで生産性の向上が望める。遠方よりの視認性もよく巻き込まれ事故防止、今後は暑熱対策チェーンソー防護服の普及販売を通して夏場の、林業事故の減少を期待しています。

チェンソー防護衣の開発について
1. はじめに 今回の開発内容は間伐作業や、伐採作業等で使用するエンジン駆動チェンソーが、身体に接触しておきる切創事故から保護する防護服の研究開発と普及である。近年、軽量で高出力のチェンソーが販売され林業の造林・伐採以外でも果樹園芸や造園ガーデニング等にもチェンソーが広く普及使用されており、チェンソーの接触による事故防護服の普及が遅れているのが現状である。このため、日本の気候風土や急峻地形また日本人の体格に合わせた防護衣服の開発を地元の各研究機関と一体になって行った。2.チェンソー防護衣の開発概要 チェンソーの刃の形状が独特で巾が約6mmあり皮膚や筋肉を6mmの巾で削ぎ落とすような接創で 治りが遅く事故になれば重傷となる可能性が高い災害です。愛媛県林業労働力確保支援センターが今年出されて「林業新規雇用者の転職要因」の中にも、転職する理由の一つとしてケガの不安があげられている。 チェンソー防護服を着用する事でチェンソー切創事故を回避し新規参入者や若者、また多くのチェンソー作業者が安心して働ける職場環境作りを目指して開発をした。a. 試験規格 チェンソー防護衣のJIS規格がなくて、ISO国際規格に準じて開発をした。 ISO11393-1「チェンソー防護用衣類の切断抵抗性試験方法」 ISO11393-2「脚部防護具の試験方法と要求性能」 b. 試験装置 ISO11393-1に基づく試験装置は国内に設置されていないため。試験装置を製作することとし、林業機械 メーカーに測定誤差の少ない機械構造の設計と測定記録装置を発注作製した。 c. 試験方法 ISO11393-2「脚部防護具の試験方法と要求性能」 チェン速度20m/秒±0.2秒 自由回転時間   20秒±0.2秒 自由回転停止時間 4.0秒±0.2秒 接触加重     15N ±0.5N d. 製品特性及び構成 防護パット ナイロン繊維ニット       パラ型 アラミド繊維 防護範囲  Aタイプ 脚部前面 e. 製品評価 愛媛県内の森林整備会社に販売をして約20名の作業者に着用され、使用上の評価モニターを依頼し、 着用作業者は未経験者の安全対策とした。 約3ヶ月の着用結果は未経験作業者のチェンソー作業における危険回避に有効なこと(数件のチェンソー 接触があり全員無傷である)が証明された。 f. 製品改良はアンケートを実施した結果を元に改良の検討を行っている。 暑熱対策、日本の夏特有の気象条件である高温多湿下の重筋作業であるので体内の発熱も考慮した 暑熱対策を施した衣服の開発を行う。 軽量化防護パットに使用している繊維素材の高性能化をはかって防護服の軽量化をはかる。 作業性の改良人間工学的な衣服設計と縫製作業性を十分加えた動作のしやすいの防護服の改良。 価格量産体制を確立してコストダウンをはかり普及しやすい価格帯を目指したい。 g. 普及  更に、県内の林業事業者に広く普及していくために林業行政機関や各研究機関と連携をはかり、各地の 林業安全衛生講習や林業技術発表会等広く、チェンソー防護服のPRをして林業災害の防止につとめている 3.おわりに 安価な輸入木材との競合により林業経営が大きく打撃を受けているが、林業の経済的な側面だけでなく水資源の涵養、自然環境保護等の多元的に捉えた森林整備の施策が始まっている。それに合わせて緑の雇用対策、後継者育成事業が高齢化した林業労働者の世代交代に向けて実施されている。林業後継技術者の育成には、作業現場の労働安全を確立して安心して働ける作業環境の整備が不可欠であり、チェンソー防護服の普及をとおして安全で健康な職場の環境整備に貢献できると確信している。

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